【肉球建築士による自宅設計シリーズ】はじめました
今回は、自宅の外壁をどう選んだか、という話です
はじめに:車を運転しながら考えること
私は普段、車を運転してると、つい新築の住宅に目がいきます。
そして、やっぱり気になるのが、窯業系サイディングばかりの光景です。

「なんで、みんなこれを選んでいるのか」
カーマニアからすれば、プリウスばかりの街並みに疑問を抱くでしょう?
(※プリウスは良い車だから、みんなに選ばれてます)
建築オタク的にも、サイディングばかりの街並みが解せないのです。
好きなものだからこそ、もっと深く知って、最高の選択をしてほしい。
だから、今日はちょっと熱く語らせてください。
窯業系サイディングって何?──実は「窯業」していない
みなさんが「窯業系(ようぎょうけい)サイディング」って呼んでるアレ、
正式には「木繊維混入セメントけい酸カルシウム板」って言うんです。
で、「窯業」って言葉は、本来は窯で焼き物を作ることを指すんですけど、実はこれ、
窯で焼いてないんですよ!
窯業してない窯業系って、どういうこと?
製造法はぜんぜん違います。タイルは粘土を焼いて固めるけど、サイディングはセメントと木くずを混ぜて、型に入れて固める。そして、その上から模様をプリントしてるだけなんです。だから私は「セメント板」って呼びたい。その方が、実態を表してると思います。
窯業系サイディング、メリット・デメリットを冷静に分析してみましょう
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重い: 1m²で約17kg。職人さんは「筋トレかよ」ってくらい大変です。建物にも負担がかかりますが、その分、遮音性が高くなるというメリットもあります。
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水に弱い: 材料自体は水に弱いです。内部に染み込んだ水分が冬に凍結すると、膨張してひび割れることがあります。これはもう、物理法則なので避けられません。
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シーリング頼りの防水: 横張りのサイディング同士の継ぎ目(縦目地)は、シーリング材で埋めます。このシーリング、10~15年で劣化します。つまり、放っておくと水が沁み込んでボロボロになります。定期的なメンテナンスが必須で、これが結構な手間とコストになります。
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模様のバリエーション、多すぎ問題: カタログを見ると、タイル調、木目調……。もう、あり得ないくらい種類があります。選ぶ側からすれば楽しいのかもしれないけど、選択肢が多すぎて、本当に良いものを選べているのか、分からない。そして、苦労して選んだのに「その品番は在庫切れです」なんて言われた日には、もう……。
なぜこればかりが選ばれるのか?──「普通」という罠
「セメント板」って聞くと、ちょっとガッカリするかもしれないけど、それでも多くの住宅で使われてます。なぜか?多くの建売やローコスト住宅では、これ以外の選択肢がほとんどないからです。
安く、早く、同じ収まりで同じ品質を確保できるので、施工者としてはかなり楽です。
でも建て主からの目線で見ると、「見た目の模様」は選べるけど、素材や工法は選べない。
そう、「色は選べるけど、中身は選べない」それがサイディングです。
私の出した結論:ガルバリウム鋼鈑
外壁材を選ぶとき、私が大事にしたのは
「防水性>耐久性>意匠性≧価格=施工性」
です。ぶっちゃけ、見た目の模様よりも、雨に強くて長持ちする方が重要です。
窯業系サイディングは、その点で少し不安があります。
なので、私はガルバリウム鋼鈑の角波を選びました。

ガルバリウム鋼鈑の推しポイントと弱点を紹介します
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推しポイント:
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軽い: 建物への負担が少ないし、施工も楽。
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防水性・止水性が高い: 継ぎ目が少ないので、雨漏りの心配がほとんどありません。(ただし、サッシ周りや角の収まりは経験と知識が必要)
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素材が正直: プリント柄じゃなくて、素材そのものがデザインになっている。この潔さが最高です。
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価格: 比較的安価なのも嬉しいポイントでした。
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弱点:
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種類が少ない: 模様や色のバリエーションは、窯業系サイディングには負けます。というか、比較対象にならないほど少ないです。
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音: 単体での遮音性はほぼ無し。(静かな住宅街なら気にならない)
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「トタンみたい」と言われる: 見た目で言うと、そう感じる人もいるかもしれません。でも、見た目だけじゃなくて、中身で勝負です。
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結果:ガルバリウム鋼鈑の家の住み心地はどうだったのか
1.心理的な安心感
まず、ガルバは心配性の私の性格にぴったりでした。
軽くて、水が沁み込まない材料なので大雨でも安心です。
ちょっと大きな地震が起きたり、暴風で飛来物がぶつかっても、割れないので安心です。
これがサイディングだったら、台風の後とか、地震の後とかに外壁のチェックを毎回していたことでしょう。
2.外の音は聞こえるけど、夜が静かなら問題ない
通過交通がない閑静な住宅街なので、平日の昼間はガルバの家の中も「シーン」としてます。
さすがに、静まり返った夜の車のドアが閉まる音、道を歩く人の咳やくしゃみ、話し声は聞こえてきますが、それはサイディングにしてもゼロにはなりません。
そもそも、表面の外壁材が薄くても、耐力壁の合板や断熱材、石膏ボードは同じなので、家全体で見ればそこまで性能は変わりません。
さいごに
「普通の家」でいいと考える人は多いでしょう。でも、その「普通」が、いつの間にか「何も考えずに選んだ結果」になっていては、もったいないと思います。
オタクは、自分の好きなものに妥協しません。
私は、素材の本質と向き合い、納得のいく外壁材を選びました。
この経験が、これから家を建てる皆さんにとって、最高の一軒家を建てるためのヒントになれば幸いです。